オンラインカジノをネタとして扱うユーチューバーは、近々一人もいなくなるだろう。
オンラインカジノをYouTubeで紹介することの危険性は、ここ数年で以前とは比較にならないほど強くなっている。
実際、2023年に1件、そして記憶に新しい2024年の2月末にも1件、オンラインカジノの配信をしていたユーチューバーが逮捕されるという事案が発生している。
ユーチューバーにとっては「アクセス数」がすべてだが、いくら「アクセス数」が稼げるといっても、それが原因で逮捕される可能性が出てきたとなると、おいそれと手をつけるわけにはいかなくなる。
ユーチューバーはバカではないどころか、そういった感覚には極めて優れているので、過去のオンラインカジノ関連の動画の削除や、今後の撤退が、まず間違いない流れとして業界全体に広がっていくことが予想される。
特に、今回の2件目の逮捕事案がユーチューバーのオンラインカジノ撤退の流れを決定的にするといってもおそらく過言ではないだろう。
ユーチューバーはもっとも通報しやすく証拠もつかみやすい
オンラインカジノの違法性を摘発するにあたってユーチューバー以上にやりやすい相手はいない。
ユーチューバーはもっとも通報しやすく、また、証拠もつかみやすい対象であるからだ。
オンラインカジノの違法性の摘発については「証拠がない」ということが長らくは問題になっていて、決定打がないために逮捕ができないという事情が続いていた。
違法ギャンブルに対しては、リアルな賭場を特定し、現場をおさえ、胴元の検挙のついでに十把ひとからげに賭博者を摘発しなければならない警察側にとって、オンラインカジノの利用者の摘発は極めて難しい。
胴元が海外にあり、さらに賭場がオンライン上に開かれていて、利用者がスマホなどでこっそり遊んでいるため特定できない、というオンラインカジノの特徴は、「違法なのに合法」「違法でも逮捕されない」というようなグレーゾーン神話を作り上げていた。
この状況自体は現在でもそれほど変わっていないのだが、「現場」がむきだしになってさらされているなら話は別だ。
要するに、「逮捕が難しい」という事情は、ユーチューバーだけには通用しない。
ユーチューバーだけは「証拠」が動画として残っている、あるいはリアルタイムで配信として垂れ流されるという違いがあるのだ。
さらにユーチューバーは公的に姿をさらしているうえに、「アンチ」がつきやすいという傾向があり、個人的にひっそりとオンラインカジノをプレイしている利用者に比べて、圧倒的に「通報の対象」になりやすいということがある。
ごく稀に、入金不要ボーナスを使っている動画を上げていることもあるがこれは違法にはならないので逮捕には至らない。
オンラインカジノの中には高額な入金不要ボーナスを配っているサイトもあるので合法的にオンカジで遊びたい人はチェックしておくといい。
オンラインカジノが匿名通報の対象になったことの影響
オンラインカジノは現在、匿名通報事業の対象になっている。
これもまた、ユーチューバーがオンラインカジノから撤退する流れに大きな影響を与えている。
匿名通報事業というのは、匿名通報事業の対象となっている犯罪の該当者と思われる人物を匿名で通報することで、謝礼金として通報者が情報料が支払われるという制度である。
この匿名通報事業の対象として、2023年10月以降は、闇バイトと並んで、オンラインカジノも追加されたのである。
「匿名通報の対象であるオンラインカジノ」ということと「通報の対象になりやすいユーチューバー」の相性は、最悪である。
前述したように、公的な場所に身をさらしていて「アンチ」がつきやすいのがユーチューバーである。
ということは、「アンチ」の目線からすると、匿名通報の対象にオンラインカジノが選ばれたという現況は「嫌いな人間を通報するだけで謝礼金が手に入るし、おまけに逮捕もしてくれる」という状況として捉えられるだろう。
「アンチ」は嫌いな相手の過去の動画まで絶対に見逃すことはない。
だから、ユーチューバーが現在の配信を控えるだけでなく過去のオンラインカジノ関連の動画もすべて削除するのは、火急の問題になっているはずである。
ユーチューバーという存在がインフルエンサーの役割を持っていることを考慮すると、YouTubeという場所からオンラインカジノの動画が消えていくことは、社会的にはメリットしかないのも事実である。
youtubeにおけるオンラインカジノは風前の灯火といっていいだろう。